思考が速すぎる人間と、出力を失った身体の話

――強さは、ある日突然なくなる

自分はずっと

「性格が悪いんじゃないか」

「冷たい人間なんじゃないか」

と思って生きてきた。

考えるのが速い。

勝つための最適解が一瞬で浮かぶ。

スポーツでも、勝負事でも、

「こうすれば有利になるな」が先に出てくる。

でもそれを

実際にやるかどうかは別だ。

やらない。

越えちゃいけないラインは分かっている。

それでも

思考の中では一瞬で浮かぶ。

思考が速い人間の内側

例えばスポーツ。

サッカーなら

「最初のシュートでキーパーをビビらせたら次が楽だな」

バレーなら

「無駄に喜んで相手の判断を鈍らせた方が得だな」

全部、一瞬で思いつく。

でも

  • スポーツマンシップ
  • ルール
  • 人としてのライン

それを理解しているから、

実際にはやらない。

ただ

思いついてしまう自分を見て、

「俺って性格悪いのかな」

「サイコパスなんじゃないか」

って思ってきた。

身体も同じ“出力型”だった

考えてみれば、身体も同じだった。

  • 野球はやったことないのに、肩が強い
  • テニスのサーブがやたら速い
  • バレーのサーブ・スパイクが得意
  • ハンドボールのシュートも強い
  • ゴルフは2回目でドライバー250ヤード

共通点は一つ。

回転を作って、一気に出力する動作。

当て感が完璧じゃなくても飛ぶ。

芯を外した気がしても伸びる。

「強い」というより、

出力がまとまる身体だった。

入院で、全部が変わった

でも入院した。

長期間、動けなかった。

ステロイドも飲んだ。

結果は数字に出た。

  • 体重:86kg → 76kg
  • 筋肉量:64kg → 54kg

今は体重79kgまで戻ったけど、

筋肉量はほとんど戻っていない。

そして何より、

出力が出ない感覚。

力はあるはずなのに、

乗らない。

最後が抜ける。

「あ、今出てないな」って分かる。

失ったのは才能じゃなかった

最初は思った。

「もう戻らないのかな」

「才能、なくなった?」

でも違った。

これは

能力が消えたんじゃない。

  • 筋肉が落ちた
  • 神経と筋のタイミングがズレた
  • 出力を出す“順番”が崩れた

ただそれだけだった。

エンジンはある。

でも今は

一度バラして調整中。

強い人間ほど、壊れやすい

思考も、身体も同じだ。

  • 出力が高い
  • 回転数が高い
  • 一気に出せる

こういう人間は、

調子がいい時ほど壊れやすい。

無理が効いてしまうから。

「いける気がする」が信用できないから。

だから今は、戻そうとしていない。

  • 全力は出さない
  • 数字で自分を裁かない
  • 昔と比べない

戻る準備だけをしている。

今なら、こう言える

自分は

性格が悪いわけじゃなかった。

冷たいわけでも、

サイコパスでもなかった。

ただ、

思考も身体も、

出力が高い“仕様”だっただけ

そして今は、

その仕様を一度降ろしているだけ。

おわりに

「強かった自分」を失うのは、

正直、しんどい。

でも

ちゃんと観察して、

言語化して、

止まれるなら、

また噛み合う日は来る。

今は

踏み込む時期じゃない。

戻るための時間を、生きているだけ。

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