なぜ、この思考実験を始めたのか
本連載は、戦前に実在した
「日本語はカタカナ、外来語はひらがなで書く」
という表記規則を起点とした思考実験である。
ここで扱うのは、
当時の文章を正確に再現することではない。
もしこの規則が戦後も廃止されず、
現代まで運用されていたとしたら、
日本語と日本社会はどうなっていたか
を考える試みだ。
あるやり取りの中で、
「当時どうだったか」と
「今使うならどう設計するか」という
前提と時間軸のズレによって、
議論が噛み合わなくなる場面に直面した。
そこから、
表記規則は単なる書き方の問題ではなく、
思考の構造や社会のあり方にまで影響する
のではないか、という問いが生まれた。
本連載は、その問いを順に掘り下げていく記録である。
もちろん、実際の言語運用では、
このような複雑な体系は
簡略化されていく可能性が高い。
しかし本稿では、
「簡略化が起きない」という
やや不自然な前提をあえて置くことで、
表記規則が社会構造に与える影響を
強調して観察する。
本連載は、
現実予測ではなく、
条件を固定した思考実験として
読んでいただきたい。

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